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ターニングポイントの先に Page9

last update Petsa ng paglalathala: 2026-10-05 09:00:29

『……そうね。あなたのその責任感が強いところを見込んで、私も声をかけさせてもっらったんだもの。そういう理由なら断られても仕方がないわね』

「南沢さん……」

『尾崎さん、今回のことはご縁がなかったと思って諦めます。ですが、御社との取引は今後も続けるよう兄には伝えておきますね。それはこの件とは関係ありませんから』

「えっ、よろしいんですか?」

 私が引き抜きの話を断ったことで、せっかくこれまで築いてきた東亜商事との関係がこじれてしまうのではないかと私は恐れていたのだけれど。

『ええ。むしろ弊社のためにも、あなたのような方がいる企業様は絶対に手放してはいけないと思うの。それに、あなたを人質に取るような卑怯な手を使うほど、弊社は悪徳企業ではありませんし』

 南沢さんはきっと冗談でこんな

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  • 恋の才能 ~年下御曹司はバリキャリ女の私にご執心!?~   ターニングポイントの先に Page9

    『……そうね。あなたのその責任感が強いところを見込んで、私も声をかけさせてもっらったんだもの。そういう理由なら断られても仕方がないわね』「南沢さん……」『尾崎さん、今回のことはご縁がなかったと思って諦めます。ですが、御社との取引は今後も続けるよう兄には伝えておきますね。それはこの件とは関係ありませんから』「えっ、よろしいんですか?」 私が引き抜きの話を断ったことで、せっかくこれまで築いてきた東亜商事との関係がこじれてしまうのではないかと私は恐れていたのだけれど。『ええ。むしろ弊社のためにも、あなたのような方がいる企業様は絶対に手放してはいけないと思うの。それに、あなたを人質に取るような卑怯な手を使うほど、弊社は悪徳企業ではありませんし』 南沢さんはきっと冗談でこんなことをおっしゃったのだと思う。私が気に病まないよう気を遣って。「お気遣い、ありがとうございます。ではお兄さまに――東社長によろしくお伝え下さい。それでは失礼致します」 通話を終えた私は、彼女の番号をスマートフォンに登録せずに発信履歴を削除した。これから個人的に連絡を取り合うことはないだろうし、仕事上の連絡ならオフィスの電話にかけてくるだろう。「――これで一件落着、かな」 今度こそスマートフォンを閉じた私は、パソコンに向かってさっきまで奮闘していた仕事――経費精算の申請書作りを再開したのだった。   * * * *「――おはよう、稜也くん!」 翌朝、私は珍しく会社のエントランスに入る前に彼をつかまえ、自分から挨拶をした。

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    「……そうかな? ありがと」『でも、それを言ったのが男性だというのは気に入りませんけどね』「…………はぁ」 ……いや、そこで嫉妬心を出されてもなぁ。溺愛系男子はこれだから困る。「稜也くん、そこは別にいいんじゃない? まさか、自分以外に私に話しかける男性全員が気に入らない、とか言わないわよね?」『正直言って気に入らないですよ。できることなら、僕以外の男はみんな茜さんの周りからシャットアウトしたいくらいです。……さすがにお父さまや僕の父はムリでしょうが』「まぁ、そりゃそうでしょ。……でも、言い方はすごく極端だけど、それだけ稜也くんが私のことを愛してくれてるっていうのは分かるよ」『もちろんです。愛してますよ、茜さん』 彼はいつも私に愛の言葉をくれるけれど、一度も薄っぺらかったことはない。全部本気で重みがある。本当に、私一人だけを想ってくれていることが伝わってくるから信じて受け止められる。「ありがとう。私も、稜也くんのこと愛してる。今日は電話くれてありがとう。あなたの声が聞けて嬉しかった」『そうですか。思い切って電話してみてよかったです。本当はビデオ通話にしたかったんですけど……、茜さんにも都合というものがありますもんね』「うん……。確かにビデオ通話じゃなくてよかったかも」 今の私は結構ルーズな部屋着で、スッピンに寝癖のついた頭で絶賛在宅ワーク中だ。この姿を彼に見られるのは女として

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     ――翌日の日曜日は特に何の予定もなく、家にこもって過ごしていた。  座卓の上に領収書やら何やらを広げて在宅で仕事をしていると、スマートフォンに稜也くんから電話がかかってきた。「稜也くん、どうしたの?」『茜さん、……今話して大丈夫ですか? というか、今どこで何をされてるんですか?』「今日は家にいて、今はみんなの分の領収書をまとめてたところ。そろそろ経理部に、経費の精算の申請出さないといけないから』 そういえば、私たちが付き合うことになった日にも二人で残業させられて、遠藤元室長に押し付けられた清算業務をやっていたなぁと思い出す。『そうですか。遠藤さんと違って、茜さんはそういうところキチンとしてますよね。経理部長も喜んでましたよ。「さすが尾崎さん、管理職の鑑だ」って』「それは褒めすぎでしょう。私はただ、管理職として当たり前のことをしてるだけなんだから」『いえいえ、そんなことないですよ。それに比べて遠藤さんはいい加減でしたもんね。茜さんに丸投げして残業までさせて』「……そういえばあったわね、そんなことも」 ちょうど今、彼も私と同じことを考えていたんだなぁと思うと、何だか愛おしく感じた。 私は彼のことをキライになったわけじゃない。顔を合わせないようにしたのはお互い冷静になるためだった。そして今、冷静になった私はこう思っている。やっぱり私は彼のことが好きだから、この先も一緒にいたい。離れたくない、と。「――ところで稜也くん、今日はどん

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     ――翌日の土曜日。私は姉と会うことにした。昨夜のうちに、「会って相談したいことがある」と連絡を取っていたのだ。「お姉ちゃん、せっかくのお休みなのに呼び出してごめんね」「いいよ。茜の方からあたしに『会いたい』って連絡くれるの珍しいもんね。新婚家庭に気を遣ってくれてどうも」 待ち合わせていたファミレスで落ち合った姉は、謝る私にカラカラと笑った。 「今日はね、ダンナは休日出勤なの。だからゆっくり時間取れるよ。――で、あたしに相談したいことって何? なんか相当深刻そうだったけど、愛しの稜也くんとケンカでもした?」 オーダーした料理が来る前に、先にドリンクバーで汲んできたオレンジジュースを飲みながら姉が問うてきた。私もウーロン茶で喉を潤してからおずおずと答える。 姉も姉のダンナさん――義兄も稜也くんのことは気に入っているようで、「あんたたちいつ結婚するの?」と冷やかされているので、これはこれで困っているのだけれど。それはさておき。「ケンカっていうか、私が一方的にやらかしちゃったっていうか……」 私は姉に引き抜き話が来ていること、彼に話したけれど彼から「それは茜さん自身が決めることだ」と冷静に言われて悲しかったことを話した。「でね、『どうして引き留めてくれないの?』って。『私がこの会社からいなくなっても、あなたは淋しくないんだ?』って言っちゃって。……でね、今日と明日はお互いに冷静になって、自分の心と向き合おうってことになって」「……なるほどねー。悪いけど、あたしも稜也くんの意見に賛成だな。別の会社に行っちゃったくらいで終わっちゃうなんて、それだけの関係だったってことなんじゃないの? でも、あん

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    「――このままじゃ、私ホントにこの会社からいなくなっちゃうよ? それでもいいのね? あなたは淋しくないんだ?」「ちょっと茜さん、落ち着きましょ? 冷静に、ね?」「これが冷静でいられるかぁ!」 稜也くんが私を落ち着かせようと肩をつかんできたけれど、頭に血が昇っている私はその手を乱暴に振り払った。そのままポロポロと泣き出し、言いたくないことまで言ってしまう。「私……、稜也くんのそういうところがイヤなの! どうして自分の恋人が会社からいなくなるかもしれないのに、そんなに落ち着いていられるの? 信じられない!」「だから落ち着きましょって。別に茜さんがこの会社を去ってしまったからって、僕たちの関係が終わるわけじゃないでしょう? ……とにかく、お互い一度冷静になって、自分の心と向き合った方がいいと思います。僕も今はちょっと頭が混乱しているので……」 彼が混乱しているなんて信じられない。だって、彼はこんなに冷静で……。でも、今の言葉からは普段の彼の冷たさは感じられなかった。「…………うん、分かった。私も言い過ぎたかもね。ごめん。それじゃ、明日と明後日は顔を合わせない方がいいかな」 幸いにも今日は金曜日。週明けまでは出社してくることもないはずなので(管理職になったので、不測の事態が起きれば出社しないといけないかもしれないけれど)、デートの約束をしなければ稜也くんと会うこともない。冷静になるには、一度距離を置いた方がお互いのためにもい

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